生きた空間

先日、物置部屋に移動していたプラモデルの箱やランナーを裁断し、ゴミ袋に詰める作業を行った。

完成したプラモデルは既に役目を終えている。

それにも関わらず、箱だけは何となく残り続けていた。

今回それらを処分していて、一つの気付きがあった。

そもそも箱は家に届いた時点で裁断して捨ててしまっても良いのではないか、という事だ。

中身を取り出した時点で箱の役目は終わっている。

いつか売るかもしれない。

何かに使うかもしれない。

そんな理由で残していても、実際には何年も動かないまま積まれている事が多い。

今回処分した箱もそうだった。

そして作業を終えた後、部屋の様子が明らかに変わった。

箱が積まれていた頃は、そこに小さな壁が存在していた。

高さにして1メートルほど。

それが半分ほどになっただけなのに、部屋の空気が変わったように感じた。

閉鎖感が減り、視線が抜ける。

呼吸がしやすい。

言葉にすると大げさに聞こえるかもしれない。

しかし実際に感じたのは、物が減った喜びではなく、空間が戻ってきた喜びだった。

世の中では何かを手に入れる事に価値が置かれがちだ。

もちろん、それも一つの価値である。

しかし今回わたしが感じたのは、その逆だった。

物を増やした事による満足感よりも、空間を取り戻した事による解放感の方が遥かに大きかった。

空いている空間は何もない場所ではない。

それは生きている空間だ。

そして気付かないうちに、わたしたちはその空間を物で埋め尽くしてしまう。

今回処分したのはプラモデルの箱だった。

しかし本当に取り戻したのは、部屋の一角ではなく、空間そのものだったのかもしれない。

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