第11話 どれほど欲しかった物でも、永遠ではなかった

私は以前、好きな作品の関連商品を手に入れるためなら、時間も手間も惜しまなかった。

欲しい物を探す。

予約をする。

発売を待つ。

簡単には手に入らない物ほど、手に入れた時の喜びは大きかった。

そして、その喜びは本物だった。

決して、その時の気持ちを否定するつもりはない。

あの瞬間、私は本当に欲しかった。

本当に大切だと思った。

だからこそ、苦労して手に入れた物には強い思い入れがあった。

しかし、以前の私なら考えもしなかったことが起こった。

時間が経つにつれて、自分の中で価値観が変化していった。

好きだった気持ちが嘘になったわけではない。

作品への思いが消えたわけでもない。

ただ、関連商品を大量に所有することが、自分の好きな気持ちを支えるものではないと気付いたのである。

過去の私は、好きなら持つべきだと思っていた。

持ち続けることが、その作品への気持ちの証明になると思っていた。

しかし今は違う。

好きな気持ちは、物の数で測るものではない。

たくさん所有しているから愛情が深いわけではない。

一つでも、自分にとって本当に意味のある物があれば十分なのだ。

だから現在、私は以前なら迷わず残していたであろう物についても、冷静に向き合うことができる。

残したいものは残す。

しかし、役目を終えたものは手放す。

それは過去の自分を否定することではない。

その時、本気で好きだった自分も確かに存在していた。

大切なのは、過去の気持ちを守るために現在の自分を縛らないことだ。

私は以前、物を所有することで好きな気持ちを証明しようとしていた。

今は、好きな気持ちがあるからこそ、必要以上に所有しない。

この変化こそが、私にとって大きな意味を持っている。

どれほど欲しかった物でも、どれほど苦労して手に入れた物でも、未来の自分にとって同じ価値を持つとは限らない。

だからこそ、今の自分が本当に大切だと思えるものを選ぶ。

それが、現在の私の物との向き合い方である。

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