第2話 増え続ける物、終わらない掃除

物を手に入れる瞬間は、いつも楽しかった。

欲しかった物を見つける。

予約する。

発売日を待つ。

そして、ようやく自分の手元に届く。

その瞬間の喜びに嘘はなかった。

好きな物に囲まれた生活は、当時の私にとって幸せそのものだった。

しかし、時間が経つにつれて、少しずつ別の問題が現れ始めた。

物が増え続ける。

当然のことだった。

一つ買えば一つ増える。

それを何年も繰り返せば、部屋の中に物が溢れていく。

最初は気にならなかった。

好きな物だから。

大切な物だから。

持っていること自体が幸せだったから。

しかし、物が一定量を超えた時、状況は変わった。

掃除をするにも、まず物を動かさなければならない。

床を掃除する前に、床に置かれた物を片付ける。

棚を拭く前に、棚に並んだ物を移動する。

掃除をしているのか、物を整理しているのか分からなくなる。

綺麗にしたいと思っているのに、そのためには大量の物と向き合わなければならない。

気付けば私は、20年以上にわたって掃除に悩み続けることになった。

物を増やしたのは、自分自身である。

だから簡単に人のせいにはできない。

好きで買った物。

欲しくて手に入れた物。

一つ一つには思い出がある。

だから捨てることも簡単ではなかった。

「いつか使うかもしれない。」

「また好きになるかもしれない。」

「せっかく苦労して手に入れた物だから。」

そんな思いが、物を手放すことを難しくしていた。

私は何とか解決したくて、掃除や収納に関する本を探し始めた。

当時は今ほどミニマリストという言葉も一般的ではなく、断捨離という考え方も広く知られていなかった。

だから、自分で答えを探すしかなかった。

書店へ行き、掃除の本を探した。

収納の本を読んだ。

整理整頓の方法を学んだ。

しかし、次第に一つの疑問が生まれていった。

綺麗に収納する方法を知っても、また物が増えれば同じことになる。

掃除の技術を身につけても、物を増やし続ける自分自身が変わらなければ、根本的な解決にはならない。

私が本当に知りたかったのは、

「どうすれば綺麗に片付けられるか」

ではなかった。

「なぜ私は、これほどまで物を求め続けるのか。」

その答えだった。

この時から、私の探求は掃除の方法ではなく、人の心へ向かっていくことになる。

そして、その先で一冊の本との出会いが待っていた。

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