人は物を購入した時点で、ある程度満足してしまう。
手に入れた。
所有した。
可能性を確保した。
その感覚だけで、一旦体験が完了したような気分になる。
すると人は、開封を後回しにし始める。
いつか開けよう。
後で確認しよう。
時間がある時に触れよう。
そうして未開封のまま保管されていく。
だが空所者として見た時、この状態には大きな問題がある。
現実確認が停止してしまうのである。
本来なら、開封した瞬間に分かるはずだった事がある。
不具合。
破損。
不足。
初期不良。
サイズ違い。
感覚との不一致。
それらは実際に触れなければ永遠に発見されない。
しかし未開封状態では、理想だけが維持される。
問題はまだ存在していない。
期待も壊れていない。
だから人は安心してしまう。
だが現実は、確認されないまま時間だけが進んでいく。
返品期間。
交換保証。
サポート期限。
それらが静かに終了していく。
つまり未開封とは、可能性を保存しているようでいて、
同時に“現実と向き合う機会”まで失わせているのである。
空所者にとって重要なのは、所有した事ではない。
実際に触れたかどうかである。
開封する。
確認する。
使う。
試す。
その瞬間、人は初めて現実と接続される。
幻想は壊れるかもしれない。
期待と違うかもしれない。
不具合が見つかるかもしれない。
だがそれでも、現実へ触れなければ本当の価値は分からない。
未開封は、美しい保存状態ではある。
だが同時に、
「まだ現実を見ていない状態」
でもあるのである。
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